あらすじ

フロレンツの運河沿いの古物店・まわり道堂は、査定に出せば二束三文の品ばかり。けれど店主アリアは、物に残る持ち主の想いが視える加護で、値札のほかに「いわれ書き」——その品が歩んできた物語の紙——を添えて売る。拾われっ子の看板娘リルが自慢げに読み上げるその紙が、この店のいちばんの売り物だ。そんな店に、フロレンツ最大の大商会から立ち退きの通告が届く。 取り壊しの決まった蔵から運び出される処分品の山。その底で、アリアは炉にくべられる寸前の、粗末な木匙を見つけてしまう。柄に焼きつけられた、小さな一文字。銅貨三枚のその匙を、立ち退き交渉の席で——大商会の会頭その人の前で読み上げるとき、成功者の顔をした男の、捨てたはずの過去がよみがえる。値札の裏には、かならず誰かの人生が貼りついている。読み終えたあと、物の値段が少し違って見える読み切りです。

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小説を読もう2026/07/21
  • 現在の作品売れない物ばかりの店ですが、物語なら高く売れます 〜転生バイヤーと看板娘のまわり道堂繁盛記〜