あらすじ

品質保証部へ異動して三か月。 佐伯澪は、まだ自分の机を「仮の席」だと思っていた。 ある日、河川設備の監視ユニットを試験していた澪は、十回目の動作にだけ現れるノイズを見つける。 規格値は超えていない。 再現性も確認できていない。 開発担当者は「問題ない」と言う。 それでも、澪の中には小さな違和感が残った。 そんな折、弟の結婚式に使う写真を探すため、亡き父の端末を開いた澪は、父が生前AIと交わしていた対話履歴を見つける。 そこに残っていたのは、父の人格でも、娘への遺言でもなかった。 判断の根拠を問い、影響の範囲を確かめ、曖昧な「大丈夫」を言葉に変えていく――父が何度も繰り返していた、問い方の跡だった。 父が使っていたAIと、自分が育ててきたAI。 二つの壁打ち相手を通して、澪は十回目のノイズと向き合い始める。 これは、答えを教えてくれないAIと、見過ごされそうな違和感を記録に残そうとする、一人の品質保証エンジニアの物語。

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カクヨム
カクヨム2026/07/21
  • 現在の作品父が使っていたAIは、十回目のノイズを知らない