あらすじ
神殺し許可局。神を殺したい人間が様式第三号を提出し、たいてい却下される役所である。
この世界の魔法とは、神々との契約の履行である。神は信仰では死なない。契約がすべて解約されたときにだけ死ぬ。ゆえに殺神とは剣の仕事ではなく、経理の仕事である。
俺の名はロウ、窓口の審査官。勤続六十七年、職員契約のせいで顔は三十四のまま、規定により六十七年間祈っていない。窓口に来るのは、灯台を取り壊されて死にたがる灯台の神、創造主の殺害を申請しに来た人形の娘、「死神を廃止してほしい」と陳情に来る喪服の村人たち、四つ目の新興宗教を立ち上げようとする祈り依存症の常連。俺の仕事は、彼らの憎しみと未練を契約書のレベルまで解剖し、判を捺すか、突き返すことである。
ある朝、決裁箱から一枚の申請書が降りてきた。記載は完璧、添付書類も完璧。対象は台帳番号一番——この世の全契約の最終保証人、契約神オルガム。
承認すれば、世界中の魔法が失効する。却下する法的根拠は、ない。