あらすじ
朝凪町には、「いらっしゃい」という言葉がない。
祭りの案内冊子を作るため、町を訪れたデザイナーの青木千紘は、行く先々で「おかえり」と迎えられる。
町の夏祭りで行われるのは、かつて暮らしていた人の名前札をつけ、思い出の店を巡る「思い出さんぽ」。千紘は、九年前に姿を消した高瀬春美の代役として、四つの店を回ることになる。
名前を呼ばれ、四度の「おかえり」に「ただいま」と答え、古い家族写真と同じ場所に立ったとき、千紘の周囲で少しずつ記憶が書き変わり始める。
温かな町と明るい祭りの中で進んでいく、名前と写真と記憶をめぐる、意味がわかると少し怖い物語。