あらすじ
前世は東京の売れないラッパー。フリースタイルだけは強かったが楽曲は再生数三桁、家賃のために手を出した裏稼業がもとで、タタキに遭って死んだ。
気がつけば、動物たちが暮らす世界の山あいの田舎町・王町に、四つ目のカモシカとして転生していた。チートなし。ステータス画面もなし。持ち越せたのはヒップホップの記憶ぜんぶと、前世の名残で生まれつき真っ赤な、四つの目だけ。
しかもこの世界に、ヒップホップは存在しない。
二度目の人生でも夢に敗れ、国の「都落ち金」で故郷に帰った俺を待っていたのは、シャッター街と、六選を狙う古狸の町長と、神社の杉に住む伝説の老カラス・ヤタの一言だった。
「ラップは元々、街を動かすための言葉だった。お前、そこに帰れ。——この町を、何とかしろ」
チートはないので、言葉で殴ります。売れないラッパー二周目、相棒はディグの天才のリス一匹。田舎町の町長選に、ヒップホップで殴り込む。