あらすじ
辺境の村フェルナでは、十二年に一度、月を覆う災厄を鎮めるため、若い娘を「花嫁」として月冠山の竜へ捧げる風習が受け継がれている。身寄りのない十六歳の薬師の少女リナも、その生贄に選ばれ、死を覚悟して山へ向かう。しかし山頂で待っていたのは、人々が恐れる怪物という噂とはどこか異なる、傷だらけの一頭の竜だった。少女は竜との出会いをきっかけに、村に伝わる伝承や儀式の意味に疑問を抱き始める。やがて隠された真実を追い求める中で、竜と村を巡る百年以上の因縁が少しずつ明らかになっていく。恐怖によって受け継がれてきた伝統と向き合い、人間不信な竜と薬師の信頼関係を描く。