あらすじ
「リリアーナ・フォン・エーベルベルク。君との婚約を、この場で破棄する」
王城の大広間に、王太子アレクシスの声が高らかに響いた。
夜会に集まった貴族たちは一斉に息を呑み、次の瞬間には期待に満ちたざわめきが広がる。
「理由は明白だ。君は冷酷で愛情がなく、私を支えるどころか監視しているようだった。そして私は真実の愛を見つけた」
王太子の腕には、淡い桃色のドレスをまとった男爵令嬢エミリアが寄り添っていた。
「殿下……ありがとうございます」
涙ぐむ彼女を見つめる王太子の目は、恋に酔った若者そのものだった。
対するリリアーナは、一切表情を変えない。
「……そうですか」
それだけ。