あらすじ
無才級――それは、戦士にも魔術師にもなれない、最弱の証。
辺境の村で家族と静かに暮らしていた青年、レイン・ヴェルク。
力を持たない彼が望んでいたのは、父ガルム、母エレナ、妹ミアと過ごす平穏な日々だけだった。
しかし、始冠者の遺産を求める領主軍によって村は焼かれ、家族も故郷も奪われる。
すべてを失ったレインの右目に宿ったのは、魔術の構造を見抜き、灰へと崩す異質な力――《灰化》。
それは無敵の力ではない。
使うたびに身体は傷つき、血を流し、命さえ削られていく。
それでもレインは立ち上がる。
家族を奪った者たちへ復讐するため。
生き残った妹と仲間を、二度と誰にも奪わせないため。
やがて一人の無才級が率いる灰色の軍は、十二人の色冠王が支配する世界を揺るがし、存在しないはずの十三番目の王を生み出していく。
これは、何も持たなかった青年が、守ることを諦めず――世界から《灰冠》と呼ばれるまでの物語。