あらすじ
空中都市パルテノンと地底都市ヴェーア。
その二層世界を支えるエネルギー機関「一号機」を設計した技師・高城陸は、五年前、妹を救うために下層の命を“燃料”として差し出す契約に署名した。
その罪は彼の右腕を悔鉱の呪いへと変質させ、都市の崩壊と共に彼自身を蝕んでいく。
忘却局の捜査官・敷島徹は、陸を追ううちに都市の真実──下層民の絶望を抽出し続ける巨大な欺瞞の心臓──を目撃し、正義と使命の境界を失っていく。
二人は敵であり、同時に互いの罪と後悔を照らし合う唯一の存在となる。
やがて陸は、自らが設計した地獄の中心で、信じ難い事実を知る。
都市を止めれば四百万人が死ぬ。
都市を生かせば下層民が永遠に燃やされ続ける。
選択肢はどちらも地獄だった。
崩壊する空中都市。
迫る終焉の中で、陸は自らの異能「灰色の拒絶」を都市の骨格へと打ち込み、落下する世界そのものを“固定”する決断を下す。
その代償は──自らが永遠の灰色の柱となり、都市を支え続けることだった。
これは、罪を背負った男が最後に選んだ「祈り」の物語。