あらすじ
――ずっと、この言葉を待っていました。
建国夜会で王太子に婚約破棄された公爵令嬢エレオノーラ。「静かなる悪役令嬢」と囁かれる彼女には、誰も知らない裏の顔があった。表は王都一の菓子店を営む令嬢。裏は――賭場と港と金貸しで王都の夜を回す、極道一家の女当主。
家訓は三つ。薬は扱わない。人は売らない。堅気に手を出さない。
この五年、王家と貴族たちの尻拭いを黙って引き受け、王国中に"貸し"を積んできた彼女が、最上の一礼と共に婚約者の座を降りた。――その夜から、貴族たちが次々と屋敷の扉を叩く。借りを、返しに。
殺さない。取り立てない。それでも王国は、静かに彼女の前へ膝をつく。
上品で優雅な極道令嬢が、売られた喧嘩を"商い"で買う物語。
「――堅気になるのは、もう少しだけ、先になりそうですの」