あらすじ
「人間だが、読み書きと算術ができるなら採用だ」
戦争で村を失い、流れ着いた先でうっかり採用されたのは魔王軍・総務部だった。俺、ジンの仕事は勤怠管理、経費精算、備品発注。配属されて分かったのは——魔王軍、組織としてはボロボロである。
四天王(炎将)は遠征と称して温泉巡り。経費で落ちていた「軍事費」の中身は温泉饅頭3000個。
不死のリッチは「死んでるので」と300年間無断欠勤。
スライム兵は分裂して二重に給料を受け取っていた。
「規定により、査定に反映します」
ただ書類仕事をしているだけなのに、四天王が降格し、幹部が青ざめ、なぜか軍の戦力は上がっていく(温泉から帰ってきた炎将が本気を出したため)。魔王からの信頼は増すばかり。
「ジンよ、貴様は恐ろしい男だ。剣も魔法も使わず、我が軍を掌握しつつある」
「掌握じゃなくて経理です」
そして迎えた魔王本人の査定面談。俺は言ってしまった。「勇者と戦争を続けるより、和平した方が収支が良いです」——
これは、たった一人の事務員が、書類で魔王軍を(そして世界を)ホワイト化していく物語。