あらすじ

空の色が、二度瞬いた。 同じ雲が、二つの位置にあった。 同じ鳥が、違う軌道で飛んでいる。 世界が、わずかに重なっている。 ――おかしい。 そう思った瞬間、胸の奥に冷たいものが落ちた。 見慣れたはずの風景なのに、どこかが定まらない。 遠くの建物が揺らぐ。 崩れているようにも見えた。 立っているようにも見えた。 どちらも正しく、 どちらも間違っている。 柳端は息を止める。 風が吹く。 だが、その風さえ、一度では届かなかった。 何かが起きている。 まだ名前のない異変が、 世界の奥で静かに軋んでいる。 柳端は空を見上げた。 空は裂けていない。 街も崩れていない。 それでも。 何かが、もう始まっていた。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
小説を読もう
小説を読もう2026/07/20
  • 現在の作品世界はそれを○○○と言った