あらすじ
①あらすじ
由緒ある「銀薔薇鍛冶屋」の一人娘、グルアクイエルア。
祖母から受け継いだ古い炉と鍛造技術を守るため、彼女は王立ミルデア工匠学院の冬季公開鍛錬会へ出場することを決める。
ところが登録初日、誰もいないはずの校舎階段から、不思議な足音が響き始めた。
外れかけた手すりから彼女を救ったのは、壊れる前の小さな異変を見逃さない安全監査官見習い、ランディス。
すぐに修理したいグルアクイエルアと、記録と安全確認を優先するランディス。正反対の二人は衝突しながら、旧校舎三階の空き教室で足音の原因を調べることになる。
震え続ける銀細工の薔薇。
霧の朝に消えた銀の剣。
学生たちが見る、闇に染まる夢。
やがて二人は、学院に残された古い安全装置と、急成長する新式魔機商会「黒鐘商会」の企みに近づいていく。
グルアクイエルアはランディスの誠実な観察に救われ、ランディスは伝統を守りながら変わろうとする彼女から目を離せなくなる。
しかし、大切に思うほど、二人は簡単に「好き」と言えない。
鍛冶場の炎、霧に包まれた校舎、二人だけの空き教室。
銀の剣を打ち直す七週間の中で、反発は信頼へ、信頼は恋へと姿を変えていく。
古い炉と新しい技術をつなぐ鍛冶令嬢と、慎重すぎる監査官見習いが紡ぐ、両片想いの西洋異世界ロマンス。
②登場人物の紹介
◆グルアクイエルア
銀薔薇鍛冶屋の一人娘で、王立ミルデア工匠学院の鍛冶科生。
祖母の手順と古い炉を大切にしているが、家を未来へ残すため、新しい技術を受け入れようと奮闘する。気が強く、好きな相手の前ほど平然と振る舞ってしまう。
◆ランディス
学院の安全監査官見習い。
手すりのきしみや煤の匂いなど、誰もが見過ごす小さな異変を拾う観察の達人。慎重すぎるほど安全を重んじるが、グルアクイエルアの成功には誰より早く拍手する。
◆カリズムア
新式魔機を研究する、グルアクイエルアの親友。
実験前には必ず手順を確認する堅実な技術者だが、二人の恋を察すると鉄板を鳴らして祝おうとする。
◆リシュヴイク
高価な工具や宝石を買いすぎる貴族学生。
浪費家ではあるものの、困っている相手には惜しみなく手を差し伸べる。ランディスの友人として、進展しない二人を面白がりながら応援する。
◆ウェスティン
新式魔機商会「黒鐘商会」の若手主任。
人々の不安を商品の売り文句へ変え、古い工房を時代遅れとして排除しようとする。銀薔薇鍛冶屋と学院の公開鍛錬会を狙い、危険な仕掛けを進める。