あらすじ
株式会社サンタクロース、日本支部・物流部長の北村誠(見た目は冴えない中年、勤続三百年)。
ある日、本社からの通達が届いた。──日本支部・物流部門、廃止。
理由は簡単。現代の物流が発達しすぎて、サンタの配送が「不要」になったから。
翌日配送に、俺たちは負けたのだ。
クビを覚悟した俺に渡されたのは、しかし解雇通知ではなく、一枚の辞令だった。
『新規開拓部への異動を命ず。赴任先──異世界』
飛ばされた先は、物流が絶望的に未発達な中世世界。豊作の谷の隣で、村が飢えている。道がないだけで、薬が届かないだけで、人が死んでいく。
……おいおい。ここ、うちの部署の独壇場じゃないか。
誰が何を欲しがっているか丸見えの「良い子リスト」。三百年鍛えた配送員の超人的な身体。空飛ぶ神獣トナカイ九頭。現代では"時代遅れ"とされた俺の全部が、この世界では規格外だった。
困ってる奴に、届ける。邪魔する奴を、どかす。
業務は、それだけ。──三百年、遅配なしの物流部長が、まだ「クリスマス」を知らないこの世界で、静かに配送を始める。