あらすじ
家族が皆殺しにされた。家族を殺したのは隣国レッシュの人間だった。
死の間際まで、家族はアリーの幸せだけを願っていた。憎しみに手を染めず、お前だけは幸せにと、炎に溶け落ちていく瞬間までそう言った。
だけどお父様、お兄様、お姉様。
愛する人をすべて失った私が、どうして幸せになれるというの?
壊れかけたアリーの耳元に、呪われた辺境伯の噂が聞こえてきた。
ハジャン帝国を蹂nじ、戦争を勝利に導いた英雄でありながら、数万人を虐殺した代償として恐ろしい呪いを受けた辺境伯。一度でも辺境伯の城に足を踏み入れれば、呪われて死ぬと。
降り積もる雪のように重苦しく立ちこめていたアリーの脳裏が、徐々に晴れていった。
「ああ。そうなんだ」
復讐することもできず、幸せになることもできないのなら。いっそ家族の後を追えばいいんだ。
ねえ、お兄様。
お兄様はグレイル将軍を正々堂々とした人だと言っていたわね。彼と戦って敗北したのは名誉なことだったと。
だから私も同じ道を歩んでもいいよね? これは復讐じゃないから。許してくれるよね?
もう少しだけ待っていて。
すぐに会いに行くから。