あらすじ
医薬品製造の品質管理や変更管理という厳格な業務を担い、50代半ばにしてようやく平穏な日々を手に入れた主人公。しかし、配属された24歳のミステリアスで美しい新人女性の指導を担当したことで、すっかり鳴りを潜めていた「惚れっぽい」性格が目を覚ましてしまう。
「俺って、いやらしい人間だな」
娘ほども年の離れた大人びた新人へのときめきに戸惑い、自己嫌悪に陥りながらも、彼は己の人生の「棚卸し」を始める。
虚勢を張って逃げ回った中学生時代。不器用すぎてすれ違ってばかりだった青春。そして、病院で出会った年上の「検査技師」との不格好な恋。
彼女の親から突きつけられた「絶対に娘の味方でいること」という条件を胸に結婚したものの、仕事で無理を重ね、重度のうつ病で倒れてしまう。その暗闇の中で彼を救い出したのは、「私が頑張るから」と力強く支えてくれた妻の存在だった。
若い新人への尊敬と淡いときめきは、皮肉にも、妻と積み上げてきた20年の重みと、日常に埋もれていた愛おしさを鮮明に浮き彫りにしていく。
これは、不器用で遠回りばかりしてきた一人の男が、「自分もまあまあ面白い人生歩んでるやん」と己を肯定し、当たり前にある日常の尊さに再び気づくまでの、笑って泣ける人生讃歌。