あらすじ
人類は、地上を捨てた。
労働力として生み出されたヒューマノイドとの戦争に敗れ、核で焼かれた地表から逃げ延びた人々は、巨大地下都市〈メトロポリス〉で暮らしている。
そこでは十五歳で成人となり、働けない者は配給を失う。人間の価値は、生産性によって決められていた。
反逆者の息子として差別されながら生きる少年ノボルは、掘削機操縦士を目指していた。しかし十年ぶりに起きたヒューマノイドの侵攻によって両脚を失い、未来も生きる理由も奪われてしまう。
絶望する彼の前に現れたのは、人間を理解できない謎の少女レイと、地上に森と青空が戻っていることを示す映像だった。
地上は、まだ死んでいない。
父が遺した言葉の真相を知り、自分の目で空を見るため、ノボルは特殊な義足を受け入れる。そしてレイ、地下警備隊員クライム、政府官僚リンとともに、地上へ通じるとされる巨塔〈バベル〉を目指すことになる。
だが、その旅には人間に紛れたヒューマノイド、崩壊寸前の地下社会、政府が隠し続けてきた計画が待ち受けていた。
なぜ機械は人類を完全には滅ぼさなかったのか。
なぜノボルは選ばれたのか。
そしてレイは、本当に人間なのか。
死を延期するだけだった少年が、空へ向かって登り始める。
これは、人類を救う英雄の物語ではない。
人間が救うに値する存在なのかを試す、最後の物語である。