あらすじ

その男は、前の世界で、五十歳で死んだ。らしい。  死んだ記憶は、ない。気がつくと、三十歳の体で、よく似た別の世界に立っていた。  御手。フリーのイベント屋。  設営、進行、撤収。何万人を集めて、ちゃんと帰す。それが、この男の三十年だ。  ところが、この男が回す現場には、なぜか、人ならざるものが、集まってくる。  なりかわる狼。終わらないアンコール。群衆の、眼。  御手は、それを退治しない。祓いもしない。  ただ、イベント屋のやり方で――終わらせる。拍手で、送る。  「イベントは、承ります。けど、お化けは……勝手に来るんですよね」  怪異退治じゃない。“お開き”にするだけだ。 ◆ 登場人物 ◆ 【境野御手(さかいの みて)】  フリーのイベント屋。見た目は三十歳、中身は五十。  設営から撤収まで、何万人を集めて、ちゃんと帰す。それが、この男の三十年だ。  昔から、人の集まる場所に“湧く”ものが視える。だが本人は、台風や停電と同じ「現場の障害」くらいにしか思っていない。  口癖は「まあ、いいか」。深刻になる才能が、ない。 【橘ひなた(たちばな ひなた)】  制作会社の新人。業界に入ったばかり。  うっすらと、視えてしまう側の人間。  御手について現場を回るうち、この男が“ただのイベント屋”ではないことに、少しずつ気づいていく。 【九条(くじょう)】  祓い屋。作法と式神を操る、由緒ある家の術者。  御手を「素人の邪道」とライバル視している。 【ヨイ】  御手の家に居着いた、景色の欠けた獣。  目はない。なのに、こちらを見ているのは分かる。

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カクヨム
カクヨム2026/07/20
  • 現在の作品『イベント屋、異界案件承ります』