あらすじ

アカウント メッセージ ホーム メニュー 作品の作成・編集作品詳細エピソード詳細 僕の顔がない 下書き 僕の顔がない。 作成日:2026年07月20日 11時09分 更新日:2026年07月20日 11時14分 日常の皮が一枚めくれたすぐ裏側に、底知れぬ闇が広がっている。 私たちは普段、見慣れた景色や確かな自分の存在を疑うことなく暮らしています。しかし、夏の茹だるような暑さのなか、あるいは静まり返った真夜中の部屋で、世界の境界線は容易に歪んでしまうものです。 本書に収められたのは、そんな「ありふれた日常」がほんの微かな音や違和感をきっかけに、取り返しのつかない異常へと変貌していく怪異の記録です。 耳を澄ませてみてください。 いま、あなたのすぐ目の前で響いているその音は、本当にただの気のせいでしょうか。 どうぞ、恐ろしい物語の数々を最後までお愉しみください。 本文 ジリジリと肌を焼くような、不快な夏の熱気が部屋に満ちていた。 網戸の向こうから聞こえるアブラゼミの鳴き声に混じって、パチ、パチ、と爆はぜるような、奇妙な音が聞こえ始めた。 エアコンのきしむ音か、あるいは西日のせいで柱が軋きしんでいるのだろうか。 「なんだろう」 そう呟こうとして、喉の奥が引き攣つった。声が出ない。それどころか、口が開かない。 違和感に襲われ、汗ばんだ手で自分の顔に触れた。 指先がなぞったのは、目も、鼻も、口も、すべてが消失した、ただの平らで冷たい皮膚の塊だった。 パチ、パチ。 音は、僕の「顔があった場所」のすぐ目の前、遮るもののない空間から響いている。 この猛暑のなか、そこだけが凍りついたように冷えていた。僕の顔を奪い去った「何か」が、夏の強い日差しに照らされながら、すぐそこで歓喜のまばたきを繰り返しているのだ。

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小説を読もう2026/07/20
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