あらすじ
「あのお兄ちゃん、唐揚げしか食べないんだって」
「気持ち悪いよな……」
昼下がりの商店街。弁当屋の前を通りかかったとき、おれは子供たちのひそひそ声に気づき、その視線の先を何気なく追った。そこには、両手にビニール袋を提げた男が背を丸めてゆっくり歩いていた。
子供たちはくすくすと笑いながら自転車にまたがり、漕ぎ出した。おれの横を通り過ぎたあと、一度だけ振り返って大声で笑い、そのまま勢いよく走り去っていった。
おれは小さく息をついた。
まったく子供というのは、純粋というか遠慮がないというか、意地の悪さを隠そうとしないというか……。思ったことをそのまま何のためらいもなく口に出す生き物だ。
それはさておき、あの男……。
おれは改めて男に目を向けた。