あらすじ

かつて人間という生物によって文明と呼ばれるものが誕生した。それは火を扱い、鉄を打ち、栄えていった。 だが、人間というのは存外愚かであった。 その美しき文明という心臓は、一日にして鼓動を止めた。 全世界に存在した計1万2000発の核兵器が、一斉に掃射されたのだ。そこに意図があったかは不明だが、心中じみた愚行だけが人類史に綴られた。人間は、全滅した。 それから、気の遠くなるような長い年月を経て、 生物の誕生、恐竜の絶滅、人類の躍進。 まさしく歴史を繰り返すように。 そして、かつて「日本列島」と呼ばれた極東の島国には、再び人の営みが戻っていた。 立ち並ぶ瓦屋根、腰に刀を差した武者。 文明はまるで、遠い過去の「江戸初期」へと先祖返りしたかのような姿を見せていた。 だが、新しく生まれた彼らは、旧人類とは決定的に異なる力をその身に宿していた。 皮膚に墨の如く浮かび上がる、旧時代の文字の痣――『言紋(げんもん)』。 火を熾す者は【火】を使い、家を建てる者は【力】を使う。道具の進歩を必要としないその力ゆえに、文明は完璧に停滞し、幕府の冷徹な統制のもとで歪な泰平を保っていた。 互いの想いを伝えるための「文字」が、牙を剥く「武器」へと変わった世界。 幕府の目が届かぬ辺境の村で、一人の少年が己の言紋の意味も知らずに産声を上げる。 これは、言葉を奪われた世界で、文字の本当の意味を取り戻す物語。 あなたは、愛する人にどんな言葉を捧げますか?

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小説を読もう2026/07/20
  • 現在の作品言紋師(げんもんし)の愛なき言葉。〜滅びた未来で、言葉は武器と成す〜