あらすじ

藤宮ひより、二十歳。大学生。 表向きはクールで無愛想な女子大生だが、裏の顔はアイドルグループ「Blanche」のセンター・白峰すみれの限界オタク。推し活に全財産を捧げ、ペンライトを振る日々。ステージを元プロの目で分析しながら、オタクとして涙する——そんな二重生活を送るひよりには、誰にも言えない秘密がある。 かつての名前は、冴島セイラ。アイドルユニット「Prism Note」の元メンバー。 二年半前、相方・瀬名あかりに道を譲り引退し、芸能界から姿を消した。 あの光の中にはもう戻れない。 だから今度は、客席から推しを照らす側になる。幼なじみの葵にだけ秘密を打ち明け、「限界オタク」として第二の人生を歩む。それが、ひよりの選んだ生き方だった。 ところが——推しとの距離が、近すぎた。 CDショップでの偶然の再会をきっかけに、すみれと個人的な交流が始まる。 すみれはひよりの不思議な安心感に惹かれ、距離を縮めてくる。リハーサル見学に招かれ、メンバーとも関わりが深まっていく。天真爛漫なのの、主人公の正体に勘づく凛、すみれへの執着を隠す後輩こはる。全方位から距離を詰められるなか、元アイドルの知識がうっかりこぼれ落ちるたび、秘密の仮面にひびが入る。 そしてついに凛が動いた。 「あなた、冴島セイラでしょう」——非常階段での直接対決。 包囲網は、もう後戻りできないところまで狭まっている。 さらに、元相方のあかりがテレビを通じて呼びかけてくる。 「連絡ちょうだいよ、セイラ」。 封印した過去が、現在を侵食し始める。 ファンとして推しを想う気持ちは本物だ。 でもその感情は、いつしか「推し」という言葉の枠に収まらなくなっていた。 そしてライブの夜。千五百人の前で涙を流したひよりに、すみれがステージの上から気づく。後日、二人きりのカフェで、すみれが口を開いた。 「あなたは、もしかして——」 推しが推しじゃなくなる日は、もうすぐそこまで来ている。

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小説を読もう2026/07/20
  • 現在の作品元アイドルですが、推しに近すぎてもうただのファンに戻れません!