あらすじ

十七歳の高校生・榧守透理は、三年前から奇妙な記憶の断片に悩まされていた。 赤く染まった空。血と灰に覆われた戦場。自分を呼ぶ、見知らぬ者たち――。しかし、思い出そうとするたびに白い靄がかかり、すべては数秒で消えてしまう。 ある放課後、透理を含む十一人のクラスメイトが異世界アルヴェナードへ飛ばされた。 サルグレア王国が召喚したのは、二人の勇者に選ばれた御門千瀬と椎賀晴臣。だが、王国の召喚と女賢者レネアの禁術が衝突したことで、周囲にいたクラスメイトまで巻き込まれてしまう。 十人が王国の大聖堂へ到着する一方、透理だけは召喚座標を拒絶され、誰もいない未知の森へ投げ出された。 その胸に宿ったのは、二年前、何者かの裏切りによって殺された剣聖セルディオの魂。 敵を倒した者が魂の「残火」を受け継ぐ、ステータスの存在しない世界。誰もが生まれ持った魂の限界に縛られるなか、透理の内側には、本来あるはずのない巨大な空白が残されていた。 迫り来る魔物。失われた力。離れ離れになった十人のクラスメイト。そして、透理の帰還を待ち続けていた、かつての仲間たち。 なぜ透理だけが世界に拒絶されたのか。 十四歳から失われた五年間に、何があったのか。 剣聖は誰に殺され、なぜその魂を透理へ託したのか。 これは、勇者として召喚された少年の物語ではない。 一度世界から消された少年が、忘れてしまった自分の足跡をたどる物語である。(王道)

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カクヨム
カクヨム2026/07/19
  • 現在の作品十一人のうち、俺だけが“召喚”ではなく“帰還”だった