あらすじ
十八歳――それは、この世界で、生涯ただ一度だけ「運命の召喚獣」と契約を結ぶ日。
王立アルカディア魔導学院首席候補
四大守護公爵家の令嬢リシェル・フォン・アストレア。
誰もが彼女は、伝説の竜や神聖天使、古代精霊など、歴史に名を刻む召喚獣を従えるものだと信じていた。
しかし、召喚陣から現れたのは――。
「ふぉっふぉっふぉ。ようやく呼ばれたようじゃのう。」
丸っこい体にこんがり焼き色、湯気をまとい杖を突く、一匹の焼豚仙人。
試験会場は爆笑に包まれた。
「首席が焼豚を召喚したぞ!」
「伝説級どころか今日の昼飯じゃないか!」
一夜にして笑い者となったリシェルを待っていたのは、学院最大の試練《最終踏破試験》。
受験資格は、十一月一日までに登録を終えた五人一組のパーティーのみ。
焼豚を召喚したという理由だけで仲間は誰一人集まらず、締切までにパーティーを結成できなければ待っているのは留年か退学だった。
それでも焼豚仙人はどこまでもマイペース。
「まずは腹が減っては戦はできん。飯でも食うかのう。」
「仙人様!? 仲間集めが先です!」
のんびり歩き、お茶をすすり、敵と出会えば人生相談。
そんな焼豚仙人に振り回されながらも、リシェルは少しずつ本当の仲間たちと出会っていく。
やがて迎える卒業試験。
学院最強のライバルたち、学院史に名を刻む《最終踏破試験ランキング》、そして召喚獣最高の栄誉《最優秀召喚獣賞》。
誰もが「焼豚に賞などあるはずがない」と笑っていた。
――あの日までは。
「……さて。わしの弟子を泣かせる者には、少々お灸が必要じゃな。」
その一言で世界は震えた。
最弱と笑われた焼豚は何者なのか。
なぜ、この世界に召喚されたのか。
そして召喚の最後、リシェルだけが耳にした謎の囁き。
「……ようやく見つけたぞ。」
これは、一人の才女と一匹の焼豚仙人が仲間との絆を育み、世界の真実と運命を変えていく異世界召喚ファンタジー。
やがて誰もが知ることになる。
伝説を作るのは、竜でも神獣でも英雄でもない。
一匹の焼豚だったということを。