あらすじ
「お前には戦闘の才能がない。……残念だがここでお別れだ」
12歳の成人の儀。幼馴染たちが華やかな戦闘スキルを授かる中、アルトに発現したのは地味な生活スキル【箱庭(ガーデニング)】だけだった。
足手まといにならぬよう静かに冒険者の夢を諦めたアルトは、宿屋の調理場で3年間死に物狂いで修行を重ねる。
そして15歳になり、なけなしの貯金で買った中古のボロ馬車と老馬をお供に、移動料理屋として世界を巡る旅に出た。
「俺の作ったご飯で、誰かが喜んでくれるなら、これでいい」
自分が作った温かいスープをお客さんが美味しいと笑ってくれる。それだけで満足だった。
……しかし、アルトは知らなかった。
自身のスキルで開く、ただのハーブ園だと思っていた空間が、実は世界の誰も立ち入れない絶対結界の聖域【世界樹の庭】だったことを。
そこで採れるハーブはすべて、世界樹の神気を吸った伝説レベルの神薬に変異していることを。
旅を続けて1年。
ある日、箱庭の片隅に傷だらけの10センチの女の子が迷い込む。
アルトは何気なくハーブ入りのまかないスープを差し出す。
「熱いから気をつけてね」
「――ッ!? な、何この美味さは……!? 傷が一瞬で治っていく……お前、何者なのよぉぉぉ!?」
スープの美味さと規格外の効能に脳を焼かれた10センチの女の子を筆頭に、様々な生物が次々と庭に住み着き始めて――!?
無欲で優しい料理人と、彼を全肯定で愛する『10センチの最強居候たち』が織りなす、じわじわ口コミで広がる隠れた名店の旅、ここに開店!