あらすじ
魔女になった日、私は試験場の外壁にひびを入れた。
亡き母の言いつけ「強い色を、しまっておきな」を、八年間守ってきた。けれど、十六歳の魔術学院の試験で、私はついに本気を出してしまった。常人の数十倍の解像度を持つ心象——後に私が「超心象」と名づける規格外の能力は、私に「魔女」の称号をもたらした。
称号は檻でもあった。傍系王族ドルグ・アルデインは、自らが王書庫で起こした禁術の暴発事件の罪を、私に着せた。糾問の場で父は視線を逸らし、兄たちは私を見なかった。私は王立裁判所の魔女管理契約に署名し、城下町へ馬車で運ばれた。朝の光が、馬車の窓から四角く差し込んでいた。