あらすじ

父は蒸発、母は自死。崩壊した家庭の残骸を背負い、島袋遼太は廃屋のようなボロ屋で、たった一人の妹と飼い猫・ペコを養うために泥にまみれて働いていた。 ある夜、仕事帰りの縁側で吸うタバコの煙の向こうに、月を隠すほどの異様な木が現れる。 それは「未柑(みかん)」の木。 木は遼太に告げる。その実は、お前が抱える深い後悔を具現化したものだ。一つ食べるたびに罪が清算され、かつての幸せな日々をやり直せる、と。 「幸せになりたい」――その一心で遼太は、甘美な果実を口にする。 一口ごとに、彼は過去の記憶へとトリップし、守りたかった妹や家族との温かな団欒を追体験する。しかし、その「贖罪の儀式」を繰り返すたび、遼太の脳は決定的に焼き切られ、現実との境界は融解していく。 彼が最後に口にする「巨大な実」は、救済か、それとも完全な死か。 たった一人、地獄のような幸福を見つめ続ける男の物語

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カクヨム
カクヨム2026/07/19
  • 現在の作品未柑の果実