あらすじ
果物の種を生み、大地を肥沃にする奇跡の力を宿した彩果姫が時代——交易の中心は、人々を魅了してやまぬ果物であった。
そのため、人気のない彩果姫は肩身を狭くし、ときに土地と命が奪われ血を絶やすことも少なくない。
李(すもも)姫キヨウもまた、その憂き目に遭い、里を焼き討ちにされてしまった一人。故郷を失い、腹心である守護士イガワも逃亡の道すがら失ってしまった彼女はそれでも懸命に、イガワとの約束を果たすため、一人で逃亡を続ける。目指すは、蜜柑ノ國。
その入国手形を入手するため花梨(かりん)の里を目指すが、その道中でヤマトという男に出会う。彼は元守護士で、今は姫を失って落ちぶれた一人であった。
はじめヤマトは、キヨウとの関わりを拒絶していたが、思わぬ形で彼女の身の上を知り、そこに自身の過去を重ねてしまったことで、それまでとは一転、協力を決断。旅路は二人となる。
ところが、目的地である花梨の里は里閉めをしており、入れないことが発覚。さらには、追っ手と思しき者らに強襲を受けるが、その正体は当初予想していた新興宗教である『黄金の旅団』ではなく、キヨウと親しくしていた梅の里である可能性が浮上する。
混迷極める逃避行。見えてくるのは、果物を取り巻く宗教や利権の絡み合う複雑な事情。各里の思惑や『黄金の旅団』の陰謀。
これは、全てを失ってもなお前を向くキヨウと、失った過去に囚われたままのヤマトが互いに助け合い、それぞれの使命を確認し、共に再起を果たすべく真相に迫る物語である——