あらすじ
ここは、現実の日本とは少し違う、もう一つの日本。
ここでも皇位継承は相変わらず男系男子のみ。皇族女子は結婚すれば皇籍離脱。……だった。
皇室典範改正案が可決されるまでは。
「やったー! これで自由恋愛ができる!」
改正案の可決をテレビの前で喜んだのは、最近宮家を継いだアラフォーの女王・梅香。
皇族女子は結婚後も皇族に残れる。一方で、夫は皇族にならず、子供も皇族にならない。皇位継承権も与えられない。
さらに、旧宮家の男子を養子として皇族に迎える道も開かれた。
皇室の安定のための、歴史的な制度改正。
――のはずなのに。
梅香の頭の中にあるのは、皇位継承問題よりも、
「で、誰と結婚しようかしら?」
だった。
秘密の女子会『皇女会』のメンバーは、かつて六人だった。皇族を離脱した「あの子」を除いて今では五人。
一方、残された皇族女子たちには、これから怒涛のお見合いラッシュが待っている。
「ちょっと待って。私たちの結婚相手、国家が探すの?」
「旧宮家だからって、全員が皇族に向いているとは限らないでしょう?」
「それに、私たちの子供は皇族にならないのよ?」
梅香は笑う。
今回の改正案で皇族女子の子供は、皇族にはならない。
けれど、一般国民にはなれる。
住民台帳に載り、パスポートを持ち、選挙権を持ち、政治家にもなれる。
もしかしたら、将来の総理大臣になるかもしれない。
そしていつか、母親たちが生きた皇室制度を、国会で自分たちの手で変えるかもしれない。
「皇族になれないってことは、国民になれるってことでしょう?」
重すぎる皇室制度。軽すぎる女子会トーク。旧宮家男子とのお見合い。官僚が持ち込む「理想の結婚相手」。そして、自由恋愛を手に入れたはずの皇族女子たち。
これは、皇室典範改正の翌日から始まる、皇族女子たちの恋愛と制度と、ちょっと皮肉な未来の物語。
「さて、自由恋愛を始めましょうか」
「まず相手を探してからにしなさい!」
皇室の未来は、案外、女子会から変わるのかもしれない。
このお話は『パラレルワールドの日本』のお話です。
あくまでフィクションとして楽しんでください。