あらすじ
地球環境を研究する大学教授エマは、ベネチアの学会で、「熊と話せる少女が白神山地にいる」と聞く。
白神山地は、父・雲母教授が熊に襲われて亡くなった場所だった。父の死に涙を流せなかったエマは、胸の奥に沈んだ謎に導かれるように、農家民宿「くまの森」を訪れる。
そこで出会ったのは、森の気配をまとい、熊の声を聞く少女と、その家族だった。
父がこの土地に通っていた理由。母が「教授夫人」という仮面の下に隠していた思い。そして、森の奥にしまわれた記憶。
ベネチアの水面、ユーコンの星空、白神のブナ林をめぐりながら、エマは知らなかった父の姿と、自分自身の心に向き合っていく。
人間と熊は、なぜ出会い、なぜ傷つけ合うのか。
言葉を持たない命の声に耳を澄ませる、家族と森の物語。