あらすじ
人が死んでも、世界は止まらない。
中学一年の冬、藤原直士は親戚の葬儀で初めて人の骨を拾った。
知っている人が骨になったこと。
普段は涙を見せない父が泣いていたこと。
そして、泣きながら笑う人たちがいたこと。
それでも翌日になれば朝は来て、信号は変わり、店は開いていた。
高校三年の夏。
アルバイト先の店長が突然亡くなる。
「何とかなる」
そう笑っていた人がいなくなっても、店はいつも通り営業した。
そして直士は、親友の幸生から聞かれるはずだった言葉を遮る。
「死んだらさ」
その続きを、直士は聞かなかった。
「大丈夫?」
そう聞けば、幸生は笑って答えた。
「大丈夫」
だから、信じた。
信じてしまった。
これは、死んだ人の物語ではない。
残された声を拾い集めながら、
それでも生きてしまう人たちの物語。
忘れたいわけじゃない。
忘れられないだけなのに。
世界はそれを「生きる」と呼ぶ。