あらすじ
二十五歳の会社員・真壁沙耶のスマートフォンに、インストールした覚えのないアプリ「ECHO」が現れた。
健康管理や音声日記に使う、ごく普通のアプリに見える。しかし、利用者として登録されていたのは、沙耶を含む高校時代の同級生六人だけだった。
午前二時十四分。
ピッ!と……通知音が鳴る。
アプリが再生するのは、八年前の夏に彼らが聞いた音だった。
旧校舎に響く蝉の声。放送室の扉を叩く音。誰かを嘲笑う声。そして、いじめを苦に命を絶った同級生・白井凪の声。
音声を聞いた同級生たちは、自らが過去に残した「音」に追い詰められ、次々と不可解な死を遂げていく。
アプリは他人には見えず、削除しても消えない。死者が増えるたび、彼らの最期の音が新たな音声として追加されていく。
やがて沙耶のもとに届いたのは、十四秒間の完全な無音だった。
画面に表示されたのは、ただ一つの文章。
『次は、あなたの沈黙を再生します』
沙耶には、誰にも話していない罪があった。
八年前、凪が助けを求める声を、確かに聞いていたのだ。