あらすじ

戦火の中で紡がれた、一冊の手帳が世界を変える――。 体のどこかが欠けていることが「当たり前」の村で育った少女ゾーイ、十二歳。彼女の日常は、一通の招集令状によって粉々に砕け散る。「健康な子供を戦場へ」――そんな理不尽な法のもと、迎えが来るまでの猶予はたった一か月。 右足を戦争に奪われた父は、涙一つ見せず、無言でゾーイを鍛え始める。怒鳴らない。褒めない。ただ「もっと早く」と繰り返すだけの日々に、ゾーイの心はどんどん父から離れていく――大好きだったはずのあの手が、今は恐怖でしかない。 けれど、彼女は知らなかった。夜ごと机に向かう父が、娘の生還だけを祈って、一冊の手帳に全てを注ぎ込んでいたことを。 村を出たゾーイを待っていたのは、殺伐とした訓練所での日々。そこで出会った少年クロスと共に、彼女は父の手帳を武器に――いや、希望として、仲間たちに知恵を分け与えていく。「知っていれば、生きられるかもしれない」。たったそれだけの想いを胸に。 だが戦争は、子供たちの小さな絆さえ容赦なく引き裂く。突然の敵襲、燃え広がる炎、そして禁じられた崖――。 一冊の手帳が繋いだ運命は、時を越え、国境を越え、思いもよらぬ場所へとたどり着く。これは、生き延びるための知恵の記録か。それとも、誰かを想う心そのものか。

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小説を読もう2026/07/19
  • 現在の作品手帳は、戦争より厚くなれない