あらすじ
教科書が教える「あの英雄の死」の裏には、一六〇年分の嘘が潜んでいる。
巨大な権力の網に囚われ、ジャーナリストとしてのすべてを剥ぎ取られた男・犾守朔。彼が再起をかけて挑んだのは、ある歴史学者が遺した「坂本龍馬」にまつわる、あまりにおぞましい仮説だった。
なぜ、ただ過去の記録を調べるだけで、見えない「巨大な影」に追われなければならないのか。
謎の古書に刻まれた奇妙な図形と、男の理性を根元から狂わせる美しき導き手。日本という国が隠し続けてきた呪詛を紐解く逃亡の旅は、いつしか犾守を、決して触れてはならない「現代のタブー」へと引き摺り込んでいく――。
読み終えた後、じっと笑みを返してくるのは、ありふれた歴史の教科書か。それとも、世界の欺瞞に気づいてしまった、あなた自身の野生なのか。
正史という名の檻を食い破る、剥き出しの幕末ミステリー。
この物語はフィクションであり、実在の人物・団体・事件とは一切関係ありません。仮に実在の人物に氏名、容姿などが似ていたとしても、それは偶然であり、作者の意図するものではございません。
【登場人物】
犾守 朔
いずもり さく
主人公。元政治記者。挫折を乗り越え、権力の闇に立ち向かう「孤高の狼」。坂本龍馬の死の不自然な謎を追う孤高のルポライター。
西山 志遠
にしやま しおん
雑誌《天空》の担当編集者。犾守朔に危険な企画を持ち込んだ張本人。能天気だが鋭い直感を持つ犾守のバディ。
新田 助三郎
にった すけさぶろう
「龍馬は二度死んだ」という大胆な仮説を提唱した坂本龍馬研究の権威。その研究資料を次の世代に託した歴史学者。
佐倉 宵子
さくら よいこ
新田助三郎の元教え子。犾守朔の調査を導く運命の鍵であり、恩師の失踪を案じる影のある美女。
坂本 龍馬
さかもと りょうま
幕末の志士。海援隊隊長。薩長同盟、大政奉還を成し遂げた英雄。表向きは暗殺されたがその謎はいまだに解明されていない。
楢崎 龍
ならさき りょう
坂本龍馬の妻(お龍)。龍馬の思想に深く関わり、夫の死後は流転の人生を送る。
世の人は我を何とも云わば言え、我が為すことは我のみぞ知る。
―― 坂本 龍馬