あらすじ
「気にしすぎだ。お前の心が狭いだけだろう」
婚約者ジェイドが幼馴染のレイアと親しげにするたび、クラウディアはそう言われて黙らされてきた。
本当は三週間前から、婚約を終わらせたいと思っていた。
父へ宛てた婚約解消願いも書いた。
けれど、自分の感じ方が間違っているのかもしれないと思い、署名だけができなかった。
最後の機会と決めた狩猟会でも、ジェイドはクラウディアの希望を聞かず、レイアと森の奥へ駆けていった。
一人残されたクラウディアが出会ったのは、物に残った声を拾う迷子の少女フィーだった。
フィーがハンカチから読み上げたのは、クラウディア自身が押し殺していた声。
『もう、終わりにしたい』
その声を聞いたクラウディアは、婚約解消願いへ署名する。
宴で婚約解消を告げたあと、フィーはレイアが持ち込んだ贈り物へ触れた。
『少しくらい不安にさせたほうが、あいつは黙る』
ジェイド自身の声で読み上げられたのは、クラウディアが二年間否定されてきた苦しみの正体だった。