あらすじ
夜会の中央で、婚約者に高らかに婚約破棄を宣言された子爵令嬢エリーゼ。
周囲は哀れみの目を向けるが、彼女は静かに鞄から書類の束を取り出した。
「承知いたしました。では、手続きに入ります」
前世は法務部員。今世は王都一の書記官。そして五年前、この婚約の契約書を作ったのは――私です。
違約金条項、名誉毀損条項、撤回不能条項。読まずに署名したのはあなたですので、条文どおりに処理いたします。
案件を粛々と処理していたら、なぜか「氷の公爵」と呼ばれる一番の顧客に、乙欄が空欄の婚約契約書を差し出されました。
……閣下。この契約、乙に有利すぎるのですが。