あらすじ

​「土曜日、あの本が並ぶ街を歩きませんか」 ​情報の濁流に溺れそうな都会の真ん中で、二人は静寂を求めて歩き出す。 五月の晴れた土曜日。古書の香りが漂う神保町。 情報の整理を担う佐々木栞さんと、古代の哲学を道標にする「私」。 共通の故郷、山々に囲まれたあの地の清冽な空気を知る者同士、言葉を重ね、あるいは心地よい沈黙を分かち合う。 ​古書店巡りの路地裏で、握りそうで握れなかった手の、羽毛のような僅かな触れ合い。 その指先の余白に刻まれたのは、どんな目録にも載ることのない、確かな微熱の記憶だった。 ​情報の海の中で、互いという「灯台」を見つけた二人の、穏やかで知的な恋愛短編。 ​【登場人物】 ■佐々木 栞(ささき しおり) 情報の整理を担当する、小柄な女性。内気で思慮深く、眼鏡の奥に強いこだわりを秘めている。清潔感のある白い靴を好む。 ​■「私」 仕組みを構築する技術者。ストア哲学を愛し、感情を論理の鞘に収めながら、穏やかな生と彼女との距離を模索している。

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カクヨム
カクヨム2026/07/19
  • 現在の作品皐月の目録、微熱の余白