あらすじ
いくつもの国が存在する大陸。
その中でも、魔王領と国境を接する人間の王国は、長年にわたって戦いの最前線に立たされていた。
王国から正式に魔王討伐を依頼された勇者ニコは、長い戦いの末、ついに魔王を倒す。
人々を救うため。
そして、巨額の褒賞金と名声、ついでに夢のハーレム生活を手に入れるために。
これで大陸に平和が訪れ、ニコの輝かしい勇者生活が始まる――はずだった。
しかし、魔王を倒したことで、その体内にあった魔王核まで消滅。大陸各地で、新たな魔物が生まれなくなってしまう。
討伐依頼は消え、冒険者は職を失い、武器屋、防具屋、薬屋、宿屋まで次々と閑古鳥。
ほかの国にも影響は広がったが、魔王領と隣接し、魔物討伐と戦争に最も依存していた王国は、深刻な「平和不況」に陥った。
魔王討伐からわずか三か月。
英雄だったニコに向けられたのは、感謝ではなく不満の声だった。
しかも、魔王討伐を命じた国王から告げられたのは――
「お前が壊した経済を、お前が立て直せ」
そんな無茶苦茶な命令だった。
魔王討伐後、王国は魔族側の暫定評議会と休戦・復興協定を結んでいた。
未払いの褒賞金まで人質に取られたニコは、その協定にもとづいて急ごしらえで新設された「魔王領観光局」の初代局長に任命される。
ところが、与えられた局舎はボロボロ。
人間との交流を望む魔族もいれば、魔王を倒したニコを仇として敵視する魔族もいる。魔族側の反応もさまざまだ。
そして、観光局に届いた質問の一つが――
『観光客とは、どこまで食べてもよいのでしょうか?』
「どこも駄目に決まってるだろ!」
……どうやら、観光以前に教えることが山ほどあるらしい。
魔王城を観光地に。
荒れ果てた魔族の町に、新しい仕事を。
魔王領に観光客を呼び込めば、宿、飲食、交通、土産物など、新たな仕事が生まれる。人間と魔族の交易が始まれば、不況に沈む王国にも再び金が回り、国の財政も立て直せる。
つまり、魔王領の再建は、魔族だけでなく人間の王国まで救う計画なのだ。
人間には不況の責任を押しつけられ、魔族には警戒されながら、勇者ニコはかつての敵と手を組み、双方の暮らしと経済を立て直していく。
これは、世界を救った勇者が、今度は剣ではなく町おこしで、人間と魔族が共に生きられる未来を切り開いていく物語。
笑って、ときどき切ない異世界町おこしコメディ、開幕!
※本作はTALESにも掲載しています。また、構成や本文の一部に生成AIを活用し、作者自身が加筆・修正・推敲を行っています。