あらすじ
岩手県盛岡市。十一月、岩手県立不来方高校に廃校の通知が届いた。
少子化のせい、と担任は言った。教育委員会が決めたことだ、と。
だが神山には、その答えがどこか作られた言葉のように聞こえた。
不来方——鬼が来ない土地。かつてこの地を荒らした羅刹鬼が、三ツ石の神に手形を押させられ、二度と戻らないと誓った土地。その名を冠した学校が消えるとき、八百年以上封じられてきた何かが、ゆっくりと目を覚まし始める。
——三人の高校生が別々の角度から近づく真実は、坂上田村麻呂の時代から続く「歴史の改ざん」だった。
鬼は悪だったのか。封印は正義だったのか。
不来方とは、鬼が来ない土地ではなく——来ることができなくなった者たちの、魂の名前だった。