あらすじ
社交界一の貴公子と名高い婚約者エルヴィン様は、完璧すぎる。褒め言葉は週二回、文言は三種の輪番。蜂が肩に止まっても瞬きしない。私は三年間、帳面をつけてきた――欠点が見つからないから、つけているのだ。
ある夜、現れた黒衣の検死官いわく、「登録のない『空』が、社交界を歩いている」。
茶会での検めの結果、婚約者の中身は空。操りの糸の先は、お義母様の袖の中。
……で、本物のエルヴィン様はどちらに? 答えは屋根裏。絵の具まみれで、無愛想で、あの変な手紙の差出人で。
「求婚なら、自分の口でする。人形の台詞じゃなく」