あらすじ

他人に頼るのは弱さだと信じていた。 群れなければ生きられない有象無象を、心底しょうもないと見下していた。 ――本当にしょうもなかったのは、私の方だったのに。 ラ・コルナ地方、ルナフォリア。 上層と下層に分かれた石造りの街は、年中どこか薄暗く、底冷えがした。 修道院の書物庫の隅で、ただ静寂と合理性だけを信じて生きていた司教の娘・リコリス。 完璧だったはずの彼女の計算式は、下層からやってきた妹・エルシーの纏う「蜂蜜の匂い」と、不条理なまでの無垢な信頼によって静かに狂い始める。 これは、のちに『冷徹なリアリスト』へと至る少女が、すべてをむしり取られ、泥のなかから反逆の逃避行へ踏み出すまでの――失われた「月の葉」の記憶。 (※本作は『300年後も鐘の音を』の過去外伝となりますが、単体でもお楽しみいただけます)

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カクヨム2026/07/19
  • 現在の作品『300年後も鐘の音を』外伝 ―― ルナフォリア・カルテ ――