あらすじ
「殿下。この肖像には、花嫁が二人います」
王太子オルディスとの婚礼を六日後に控えた、公爵令嬢リュネア。
完成した婚礼肖像に亀裂が見つかり、亡き母から絵画修復を学んでいたリュネアが調査することになる。特殊な層映し液で上塗りを透かすと、彼女の顔の下から現れたのは、二年前に反逆者として死んだはずの姉カティエナだった。
姉の手に握られた、棘を外へ向けた白薔薇。婚約指輪のない指。背景の鏡に描き込まれた、王都には存在しない鐘楼。
それらはすべて、カティエナが絵の中に残した告発だった。
姉の身体の上へ自分の顔を描かれ、代わりの花嫁にされていたと知ったリュネアは、オルディスとともに隠された記録を追う。やがて浮かび上がったのは、復興資金の横領と、二人の令嬢の意思まで塗り替えた宰相の陰謀だった。
「私は、姉の意思を消すための上塗りにはなりません」
一枚の婚礼肖像から、消された姉と自分の人生を取り戻す、絵画修復×宮廷ミステリー。