あらすじ
百年以上もの間、北の王国の国境には、プラタナスの木々の奥深くに隠された禁断の地が、ひっそりと存在し続けている。
誰もその境界を越えることはできない。
その向こうに何があるのかを知る者もいない。
――夜ごと王国の街に現れる、謎の店が人々へ扉を開くまでは。
ヘルショップ
この店では、黄金は通用しない。
力も通用しない。
高貴な身分にも、何の価値もない。
扉をくぐった者は皆、ただ一つの問いを投げかけられる。
「どんな罪を犯すつもりですか?」
答えを口にした瞬間、罰が与えられる。
まだ犯していない殺人の苦しみ。
まだ流していない血の代償。
まだ起きてもいない裏切りの痛み。
そのすべてを、あらかじめ支払うことができる。
そして店を後にした者たちは、もう罪を恐れることなく犯せると信じるようになる。
だが、地獄が善意で扉を開くことは決してない。
王国で罪が増え続けるなか、戦士たちは《ヘルショップ》を滅ぼすため、影の中から姿を現す。
なぜなら、彼らは一つの真実を知っているからだ。
ある扉は、ひとたび開かれれば――
闇へ呑み込まれるのは人間だけではない。
世界そのものが、二度と引き返せない闇へと堕ちていくのだから。