あらすじ
沖崎県陽南市役所――そこは、市民のために存在する「普通の役所」のはずだった。
臨時職員の相馬(そうま)は、ふるさと納税の不自然な記録に気づく。
同じ金額、空白の名前、そして繰り返される「処理済」の文字。
調査を進めるうちに、彼は市役所の地下に眠る『記録』へと辿り着く。
そこには、過去の出来事だけでなく――【人間そのもの】が記録されていた。
やがて相馬は知る。
この役所の本当の業務は、書類処理ではない。
「不要な存在を、記録として処理すること」
気づいた者から消される。
そして、消された者は――次の【処理者】になる。
静かに、確実に、誰にも知られず。
今日も市役所は【正常に】機能している。
■登場人物
・相馬(そうま)
市民生活課の臨時職員。
真面目で観察力があり、業務の違和感に気づいてしまう人物。
不正の調査を進めるうちに、市役所の「本当の役割」に触れてしまう。
・女性職員
相馬の同僚。穏やかで親しみやすい存在。
しかし彼女もまた、市役所の異常性に“適応している側”の人間。
無自覚なのか、それとも――。
・写真の男
すべての記録写真に写り込む謎の存在。
常に同じ笑みを浮かべ、同じ位置に立っている。
その正体は「処理された者」の成れの果て。
・処理者
特定の個人ではなく、役所の中で継承される役割そのもの。
不要と判断された存在を「記録」として消去する。
相馬もまた、この役割に取り込まれていく。