あらすじ
悪魔との戦争が終結して数百年。世界には仮初の平穏が訪れながらも、悪魔の眷属である魔物や異端の術を扱う魔術師による災害が発生していた。
そんな世界で故郷を魔物に滅ぼされたアイは、教会による洗礼の末にどんな術式も発動できるという賢者の石の力を引き出す聖女として祭り上げられていた。
教会はアイを生贄にすることで賢者の石の力を引き出し、世界から魔術による災害を根絶しようとしていたが、アイは賢者の石に破滅を願い、周囲の大地は生命の痕跡すらない死の世界へと姿を変える。
生贄となることを免れたアイだったが、灰色になった世界でたたずむ彼女に襲い掛かったのは賢者の石の暴走によって悪魔の本性を現した司教だった。悪魔と化した司教は再びアイの力を利用し賢者の石の力によって魔術を独占しようとするが、アイの前に現れたのはクラベルと名乗る一人の錬金術師だった。
クラベルの錬金術によって悪魔は塵と化したものの、教会に反逆したアイは世界中を敵に回すことに。
そんな彼女がクラベルに告げたのは、ささやかな一つの願いだった。
「なんでもするから、私をここから連れ出して」
「私はお前の母親じゃない。一度救いを拒んだ者に再び救いの手が差し伸べられるほど、この世界は甘くない」
すべての願いを叶える賢者の石に、アイは救済ではなく破滅を願った。本来なら許されない願いに、クラベルは表情も変えずに答える。
「だから、死にたくなければ死ぬ気で付いてこい。世界を敵に回す覚悟があるのなら、私がくそったれな運命と戦う力を与えよう」
アイはクラベルと共に教会の追っ手から逃亡しながら錬金術師の迷宮を巡り、賢者の石の製法を探す旅に出る。
世界の破滅を願った少女が、旅の果てに何を成すのか。そして、賢者の石に何を願うのか。
――くそったれな運命を書き換える、異端の錬金術ファンタジー、開幕