あらすじ
他人の障害ばかり直して、自分自身は壊れたまま死んだAI保守エンジニア・百瀬灯真は、異世界で《桃太郎》として召喚される。犬・猿・雉を模した三体の戦術支援AIと共に鬼退治へ向かった彼の切り札は、一寸法師のように極小化して鬼の内部へ侵入し、心臓核だけを刺し止める禁断技《一寸界侵》。だが鬼を倒すたび、灯真は“救われなかった誰かの人生”を五秒だけ生きてしまう。やがて彼は知る。鬼とは、世界の幸福を守るために隔離された痛みの成れの果てであり、《桃太郎計画》とは鬼ごと世界を初期化するための処理手順だったのだと。世界を無傷に閉じるか、傷ごと明日へ進むか。灯真は鬼の心臓に潜り続けた果てに、救済の定義そのものを書き換える。