あらすじ
十一月三日。
その日だけを、妻・美緒は何度も繰り返していた。
夫の悠真は、最初その異変に気づかなかった。
同じ朝、同じ天気、同じニュース、同じ出来事。
世界は何度リセットされても、悠真の記憶だけは消えてしまう。
しかし、妻の表情だけが少しずつ変わっていく。
まだ起きていない事故を知っている言葉。
数時間後に起こる出来事を予測する行動。
そして、何百回もの時間跳躍の中で、夫を救い続けてきた孤独。
美緒は、悠真が死ぬ未来を回避するために、同じ一日を繰り返していた。
だが、夫を救っても時間は進まない。
なぜ世界は十一月三日で止まり続けるのか。
なぜ記憶を持ち越せるのは妻だけなのか。
そして、悠真の中に残る“消えたはずの記憶の残響”とは何なのか。
夫婦は、繰り返される一日の中で原因を探し始める。
タイムリープの法則、午前零時のリセット、消える記録、残る感情。
やがて二人は、この現象がただの奇跡ではなく、妻の命と深く結びついた“時間の異常”であることに辿り着く。
これは、同じ一日に閉じ込められた妻を、夫が未来へ連れ戻す物語。
失われた記憶の先で、二人は本当の明日を掴む。
『今日を繰り返す妻を、僕は明日へ連れていく』