あらすじ
職場の「空気を読め」「和を乱すな」という無言の同調圧力に、毎日すり減っていた新入社員の誠(まこと)。ある金曜日の夜、疲れ果てて歩きスマホをしていた彼は、路地裏の不気味なマンホールの隙間にスマホを落としてしまう。
スマホを回収しようと穴を覗き込んだ誠は、そのまま真っ逆さまに底へと転落。目を覚ますと、そこはウサギのお面をかぶった住人たちが寸分の狂いもなく同じ動きで出迎える、豪華絢爛な「おもてなしの国」だった。
至れり尽くせりの歓迎に戸惑う誠だったが、すぐにその世界の異常さに気づく。そこは、少しでも「場の空気」を乱した者は笑顔のまま容赦なく排除される、極限の同調圧力が支配する狂気のディストピアだったのだ。誠は命がけで周囲に話を合わせ、なんとか地上へと生還する。
地獄の空気読みを生き延び、最強のメンタルと大金を手に入れて余裕の笑みを浮かべる誠。それを見た強欲な同僚の金子は、味を占めてわざとスマホを穴に投げ込み、自ら飛び込んでいく。
しかし、普段から職場の空気を壊し、ワガママ放題に振る舞っていた金子が穴の底で暴挙に出た瞬間、ウサギたちは一斉にお面を外し、感情を失った「真顔」で彼を取り囲み――。
現代の日本社会に潜む「集団心理の恐怖」を、昔話『おむすびころりん』のモチーフに乗せて描く、現代風刺不条理ホラー。