あらすじ
目覚めたとき、蒼井は“自分が自分ではない”ことに気づいた。
失われた十年前。
そして、すでに過ぎ去った十年後の自分。
今の蒼井は、時間の狭間に取り残された存在だった。
それでも、心の奥には消えない想いが残っている。
──もう会えないはずの、鷹也という存在。
鷹也は、今もどこかにいるのか。
それとも、もう——。
特殊な能力を持つ仲間たちと共に、蒼井は“過去の自分”を辿る旅に出る。
それは、鷹也にもう一度会えるかもしれない、たったひとつの可能性に縋るためでもあった。
たとえ姿が変わっても。
たとえ、過去の自分ではなくなっていても。
想いだけは、時間を越えて辿り着けるのか。
鷹也の「お前を見つける」という言葉。
そして二人の願いは、今度こそ叶うのか。
時間と記憶に引き裂かれた蒼井が、鷹也との再会を信じて歩き出す物語。
【登場人物紹介】
■蒼井 雅晴(あおい まさはる)
見知らぬ場所で目覚めた少年。
記憶も身体も、自分ではない何かに揺らいでいる。
■ 剛田 賢治(ごうだ けんじ)
やわらかい笑顔と優しさで蒼井を支える青年。
不器用だが、真っ直ぐな温かさを持つ。
■ 沢村 彰朗(さわむら あきお)
冷静で淡々とした医務担当の男。賢冶と理久の良き理解者。
■ 鹿嶋 理久(かしま りく)
十二歳の姿のまま成長が止まった少年。
声を発さず思念で会話する。底の見えない能力を持つ。
■ 鷹也 連(たかや れん)
蒼井の高校時代の親友。
明るく人懐っこく、誰よりも蒼井を気にかけていた存在。
蒼井の“失われた記憶”に深く結びついている。