あらすじ
TOEIC受験中の青年・悠人は、リスニング問題の会話を思い浮かべた瞬間、その架空世界へ入り込んでしまう。
そこは、会議室の変更、荷物の遅延、売り切れ、予約ミスといった小さな問題ばかりが起こり、必ず穏やかに解決される奇妙な世界だった。人々の行動には常に三つの選択肢が与えられ、正解は必ず一つ。悠人は問題を解き続けるうち、この世界の仕組みに適応していく。
やがて彼は、かつて同じように迷い込んだ老人と出会う。老人は、正解のない現実よりも、すべてに答えが用意されたこの世界を選んでいた。
脱出を決意した悠人は、世界を支配する放送塔へ向かう。しかし最後には、自分自身がTOEICの問題文として読み上げられ、現実世界の受験者たちに「次に何をするか」を選ばれようとしていることを知る。
悠人は、用意された三つの選択肢をすべて拒み、「知らない」と答える。
正解から外れたその瞬間、世界は初めて未来を予測できなくなる。